ISSBが見送った「自然」の開示基準 遠のく経済の強じん化 - 日経BP
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が自然関連の開示基準の策定を見送ったことで、企業の経済的な強じん化が遠のく可能性を指摘する記事。
専門家の視点
ISSBが自然関連開示基準の策定を見送った判断そのものよりも、その結果として「経済の強じん化が遠のく」と結びつける論理に、構造的な飛躍があります。現実の実体として、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は既に枠組みを提供しており、企業の開示実務はむしろTNFDを軸に動き始めています。ここには「ISSBが決めなければ進まない」という物語が前提として置かれていますが、実際には制度の重複回避と市場の混乱防止という実務的な合理性が働いています。つまり、実体としてはTNFDと連動した開示の動きは存在するのに、物語が「ISSBがやらない=停滞」と翻訳した結果、投資家や市場が過度に悲観的な期待を抱く「期待先行・萎縮」の構造が生まれています。このズレの核心は、「誰が開示基準を決めるか」と「企業が実際に何を開示するか」の実行レイヤーが混同されている点です。次に見るべきは、TNFDの枠組みを採用した企業の開示事例が積み上がっているかどうかであり、ISSBの動向だけを待つのは非現実的です。