制度・政策

《連載:防災いばらき 未来へつなぐ 原子力事故の備え》第3部(1) バス避難 運転手の不安払拭に力 要請基準、周知が重要 | NEWSjp

news.jp 2026-05-18
茨城県が東海第2原発事故に備え、バス運転手の被ばく不安を払拭するため、放射性物質放出前などに限定した要請基準の周知や研修を通じた協力体制の構築を進めている。

専門家の視点

この記事は、東海第2原発の事故に備えたバス避難計画の実態を報じていますが、運転手の不安の根本原因を解決できていない点が重要です。具体的には、配車システムに登録された貸し切りバスが約600台と、必要台数の約1000台に及ばず、登録率は約6割に留まります。研修で要請基準を「1ミリシーベルト以下」と明確にしても、運転手の「安心」は基準の周知だけでは充足されず、賠償や防護装備の実効性に関する実質的な不安が残ります。また、「可能な限り実施するよう努める」という協定文言は、責任の明確化を避けており、主語が曖昧です。さらに、記事は研修の継続を「協力関係の構築」と肯定的に語る一方、登録台数の不足という規模と効果のギャップを課題として提示しています。このように、計画は安全基準や補償制度を整えつつも、現場の担い手の心理的抵抗と物理的な準備不足という実質的な障壁を克服できておらず、期待される避難の実効性には疑問が残ります。日本企業やGX人材は、脱炭素移行におけるリスク管理において、計画の形式整備と現場実態の乖離を常に検証する姿勢が求められます。

東京電力福島第1原発事故から15年が過ぎた。日本原子力発電東海第2原発が立地する茨城県内の原子力防災対策の現状や課題を追った。 水戸市袴塚の茨城交通本社会議室。同社の全営業所長や運転手ら約20人が参加し13日、電東海第2(東海村)の防災対策や放射線の基礎知識を学ぶ研修会が開かれた。 東海第2の事故に備える広域避難計画では、避難は原則自家用車だが、困難な場合はバスなどが主な輸送手段。この日は県原子力安全対策課の和田隆司副参事が住民避難の流れを説明した。 県がバス輸送を要請する基準について、和田氏は「放射性物質放出前か、被ばく線量予測が(平時の年間被ばく限度の)1ミリシーベルトを下回る場合のみ」と強調。防護服や線量計なども配布するとした。 「1ミリシーベルトを超えたらどうなるのか」。参加者の質問に、和田氏は「自衛隊や消防などの実動組織に要請することになる。(民間に)とにかく行ってほしいということはない」と明言した。 災害に備え、県と県バス協会(任田正史会長)は昨年、住民避難の輸送に関する協定を締結。研修会はこれに基づき県が実施する。 「多くの運転手が被ばくの不安を抱いている。1ミリシーベルト以下という要請基準を明確に伝えたい」。参加した渡辺幸広さんはそう語り、周知の重要性を指摘。高速バスなどを運転する綿引秀臣さんは「安心して目的地に行ける態勢を整えてほしい」と要望した。 協定では、県が協力を要請した際、同協会や会員事業者は「可能な限り実施するよう努める」とされる。 業務での死傷や車両が放射性物質で汚染されるなどの損害が生じた場合は原則として国や原子力事業者が賠償するが、賠償されない時は県が補償する。輸送費用は県が支払い、防護資機材も整備する。 研修会は各事業者を対象に継続的に行う。今回の研修会のような基本的内容に加え、今後は防護資機材の使い方や事故発生時の行動確認など実践的な研修も模索する。 和田氏は「各事業者や運転手の理解が得られるよう、研修を重ねていきたい」と述べ、協力関係の構築を図る考えを示した。 県によると、東海第2から半径5キロ圏で即時避難対象となるのは約6万5000人。屋内退避後に線量に応じて避難する5~30キロ圏は約10万5000人を想定している。 このうちバス避難者は5キロ圏で約1万3000人(約500台)、5~30キロ圏は約2万1000人と見込む。後者は2往復による輸送を想定し、延べ約1000台が必要になると試算する。 同協会の会員は104社で、バスは計約2900台ある。しかし、県が構築した配車システムの登録は約1700台。このうち避難の主軸となる貸し切りバスは約1200台だが、登録は約600台だ。 同協会の古賀重徳専務理事は「原子力災害は他の災害と異なる。県と連携して研修を通じ、事業者や運転手の不安を払拭しながら登録台数を増やしたい」と語った。

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