制度・政策

ガス火力のデータセンター、今後も「クリーン」 テック大手の反発で - 日経FTザ・ワールド

2026-05-17
SBTiは、化石燃料依存のデータセンターを認める方向で基準強化案を撤回し、テック大手の反発を受けた動きを示している。

専門家の視点

SBTiの基準強化案撤回は、実体・物語・期待の三層で明確なズレを示しています。実体として、AI需要の急増によるデータセンター電力消費は物理的に拡大しており、既存のガス火力がベースロード電源として機能せざるを得ない現実があります。一方、物語では「クリーンなガス火力」という表現が使われますが、これは燃焼効率の改善やCCS併設を前提にした限定的な意味であり、再生可能エネルギー主体の脱炭素経路とは整合しません。期待層では、テック大手の反発が認定基準の弱体化を招いたことで、市場のグリーンウォッシング懸念が高まる構造です。ここでの核心は、基準策定団体が政治的压力に屈したことではなく、電力需要の時間軸と脱炭素投資の時間軸が非対称である点にあります。データセンターの立地決定は数年単位で即効性を持ちますが、ゼロエミッション電源の整備は十年単位です。このギャップを埋める制度設計が不在のまま、基準だけを緩めれば、結局は排出量の先送りが発生します。次の観測点は、SBTiが代替の枠組みを示すかどうかです。具体的な技術ロードマップと中間KPIを提示しない限り、今回の撤回は物語欠落の事例として記憶されるでしょう。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る