LNG専焼火力が突出増で「脱炭素」の看板は色褪せる。原発は大間と泊1号機(RIEF) | 一般社団 ...
専門家の視点
この記事が示す実体は、2025年度の長期脱炭素電源オークションにおいて、LNG専焼火力の落札量が前年度比約2.3倍の303.8万kWに急増した一方、風力や太陽光などの再エネの応札はゼロだったという事実です。総額年間6192億円もの支援が電気料金に上乗せされるにもかかわらず、「脱炭素電源」と銘打った制度が実際には化石燃料であるLNGの固定化を促進している点が核心です。 物語としては「移行期のつなぎ」「脱炭素への透明な選別制度」というフレーミングが使われていますが、本質的には「LNGシフト」で政策の矛盾を覆い隠しているにすぎません。特に、水素・アンモニア混焼や原子力など他の「脱炭素電源」は応募すればすべて落札される一方で、再エネは応札すらなく、制度設計自体がLNGを呼び込む構造になっています。 読者や市場は「脱炭素電源オークション」という名称から、真の脱炭素電源が増えることを期待しますが、現実は期待と大きく乖離しています。ここには目的と手段の倒置(入札制度の維持が脱炭素より優先)、時制の操作(将来の「つなぎ」を20年保証で固定化)、省略された利害関係者(知らぬ間に負担する消費者)といったズレが顕著です。 日本企業やGX人材への示唆としては、こうした制度の実態を見極め、表面的な「脱炭素ラベル」に依存せず、自社の排出削減計画をオフセットではなく直接的な削減行動で裏付ける視点が不可欠です。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、2025年度(第3回公募)の長期脱炭素電源オークション(入札)の約定結果を発表した、それによると、落札件数は32件の計729.9万KWで、電源別でLNG専焼火力が前年度比約2.3倍増の303万8000kWと、突出して増えた。原発は大間(青森)と泊1号機(北海道)を合わせて約194万kW、再エネ電源向けのリチウムイオン蓄電池等が約125万kWとなった。同オークションは制度開始当初は再エネや原発支援に限定していたが、今回の約定結果をみると、化石燃料のLNG火力を主導電源として支援する形が鮮明になった。「移行電源」だが、「脱炭素電源」ではない。同機関による支援の原資は個人・企業の電気料金に上乗せされる。 脱炭素電源オークション制度は、発電事業者に対して、「脱炭素電源」の建設費や人件費などの固定費分の収入を原則20年間保証する公的制度として2023年度に始まった。同機関が発電事業者を対象として「将来の電気の供給力」を募り、応札した事業者の提示する電源事業について、価格の安いものから選ぶ仕組みだ。 今回(25年度)の公募では募集総量を前年度と同様の500万kWと設定した。だが、約定量は14,8%減の426万1000kWにとどまった。そのうち、再エネ連動のリチウムイオン蓄電池と、新設を除く揚水発電の合計が81.9万kW、同電池以外の蓄電池と新設の揚水発電の合計が88.6万kW。水素専焼・同混焼もしくはアンモニア専焼または既設火力の改修で、水素・アンモニアの専焼・混焼もしくはCCS付火力を対象とする「脱炭素火力」が51.7万kW。 既設原発の安全対策投資は前年度(315.3万kW)から大幅に減少して55.8 万kWとなった。対象となる再稼働原発への同投資がほぼ一巡したためとみられる。その他脱炭素電源148.2 万kWとしている。 これら脱炭素電源とは別枠で募集されたLNG専焼火力は、募集総量(約293万kW)に対して、475万kWの応札があった。落札総量は、前年度は未達だったことに比べて大きく上回り、前年度比約2.3倍の303.8 万kW(落札率64%)と増大した。しかしLNGは石炭火力よりCO2排出量は少ないが、化石燃料であることに違いはない。移行期の「つなぎの燃料」としての期間を限った利用ならまだしも、「長期脱炭素電源」の名目で、堂々と大量入札を行い同火力を電源構成として固定化するのは、GXで掲げる「脱炭素政策」とは明らかに矛盾する。 政府は「脱炭素電源オークション」として入札による「透明性」の高い電源選別制度を打ち出した。しかし、3度目の入札で早くも、脱炭素電源への応札は減少し、化石燃料電源である「LNG専焼火力」を増大させるという結果が明瞭になった。このことは、政府が推進するGX政策自体が「脱炭素」を目指した政策ではなく、「化石燃料間でのLNGへの移行」でつじつまを合わせる策でしかないことを示す形でもある。 この点は、発電方式別の応札状況をみても明瞭だ。再エネとは別の脱炭素火力とされる水素専焼火力や、アンモニア混焼火力への切り替え、実態は火力発電と変わらないとされるバイオマス専焼、原子力、既存原発の安全対策等への応札では、すべて落札率100%。応募すればすべて落札される扱いだった。LNG専焼の落札率は64%だったが、これは応札量自体が475万kWと大幅に増加し、脱炭素電源の約定量を上回る規模となったことから、落札率を絞ったようにみえる。 これに対して、風力や太陽光などの再エネ発電や、一般水力などは応札自体がゼロ。リチウム電池の落札率は36%、同電池以外の蓄電池の落札率は58%、揚水発電のリプレース等42%。再エネ関連では、開発地区が限られる揚水発電の新設の場合が、唯一の100%だった。 今回のオークションによる約定総額は、脱炭素電源が前年比約2.2倍の年4748億円(他市場収益控除後では年3505億円)、LNG専焼火力が同4.5倍の 年1444億円(同870億円)で、合計総額は年間6192億円(同4375億円)だった。これらはすべて電気料金に上乗せされる。消費者は気づいているのだろうか。 https://www.occto.or.jp/assets/various/capacity-market/jitsujukyukanren/2025_boshuyoukou_long/260513_longauction_youryouyakujokekka_kouhyou_ousatsu2025.pdf 会員専用のE-learningや動画ニュースが見放題!! サステナビリティ情報開示基... 企業のサステナビリティ報告のグローバル・フレーム... 日本発の「稲作カーボンクレ... 水田を中干しすること
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