【国際】ISSB、ISSBパスポート制度を発足し42カ国・地域が加盟。中国のISSB受容へ
ISSBは日本を含む42カ国・地域が加盟するISSBパスポート制度を発足し、中国の基準受容にも影響を与える動き。これにより国際的なサステナビリティ開示の共通化が進む。
専門家の視点
中国の受容表明が示すのは、ISSB基準が世界の「物語」として確定しつつある一方で、日本の制度運用が「実体」として追いつくかという非対称性です。パスポート制度は基準の相互承認を促す枠組みですが、肝心の執行レイヤー、すなわち保証人材や審査手続きの整備は各国の国内法制に委ねられています。ここに最大のズレがあります。中国が加盟する意味は、単なる賛同ではなく、国内基準とISSB基準の差異を自国に有利な形で調整する「翻訳」の主導権を握る戦略です。一方で日本企業は、開示義務化が迫る中で、基準の受容は早くとも、それを検証する人材と実務のキャパシティが不足する「物語先走り」の状態です。隠れた前提は、「国際基準の受容=脱炭素経営の実質的な進展」という等式です。これは誤りです。基準は手段であり、目的ではありません。次の観測点は、中国がどの基準項目を猶予・適用除外とするかであり、そこで実体と物語の整合性が試されます。日本のGX人材に求められるのは、基準を読み解く力ではなく、開示数字の背後にある事業変革の論理を説明できる力です。