企業動向

現場の脱炭素対応で経費増、日建連が手当て要望 - 建設通信新聞

2026-05-13
日本建設業連合会が会員企業調査に基づき、建設現場のカーボンニュートラル対応による経費増加への手当てを国に要望した

専門家の視点

この記事は、建設業界の脱炭素化に向けた現場レベルの実態を報じていますが、いくつかの構造的なズレを含んでいます。 まず「規模と効果のギャップ」が顕著です。1000万円以上の費用を自前投入する現場が50近くある一方、その投資に見合う具体的なCO2削減量や効果の数値は示されていません。費用負担の増加が「脱炭素の進展」と同義で語られることで、手段(経費増)が目的(削減効果)にすり替わるリスクがあります。 また「省略された利害関係者」として、発注者である国や自治体の立場が具体化されていません。日建連の要望は「発注者による手当て」ですが、その原資が国民の税金であることや、発注者がすでに予算制約に直面している現実には触れられていません。結果として、誰がどれだけ負担すべきかという本質的な議論が回避されています。 さらに「主語の曖昧化」もあります。「現場サイドの経費負担」と語られますが、実際に負担しているのがゼネコンか一次下請けか、あるいは全ての現場作業員かは不明確です。コスト負担の実態を細分化しなければ、適切な支援策の設計は困難でしょう。 日本企業とGX人材への示唆として、脱炭素投資の対価を「削減量の見える化」と「ライフサイクルコストの比較」で正当化できるかどうかが、業界全体の持続可能性を左右する鍵となります。

日本建設業連合会(押味至一会長)の会員企業調査によると、建設施工のカーボンニュートラル(CN)実現に向けたCO2削減の各種取り組みが進展する中、重要施策となる革新的資機材導入のために、現場サイドの経費負担が増加していることが分かった。中には、1000万円以上の費用を自前で投入している現場もあるという。日建連は、発注者による費用面の手当てや積算基準への反映などを働き掛けていく。 日建連が実施した土木工事に関する会員アンケートによると、全1417現場のうちの8割強が、CO2排出量削減に取り組んでいると回答した。アイドリングストップの推進や高効率照明の採用はもとより、低・脱燃費建設機械や軽油代替燃料、低炭素型コンクリートの使用など、国土交通省直轄工事で始まった試行工事と同様の取り組みも広がってきている。 一方、会員企業からは取り組みの拡大に当たり、「電動建機は価格が従来の2|4倍と高価なほか、レンタル市場や充電インフラが十分に整備されていない。バッテリー容量に伴う稼働時間の制約もある」「軽油代替燃料の供給体制が全国的に整っていない。軽油に比べて費用が高価」「現場打ちの場合、生コンプラント側で低炭素コンクリート専用サイロ・貯蔵設備の確保が必要となる」といった課題点を指摘する声も寄せられている。 CO2削減の取り組みに要する概算費用を聞いたところ、100万円未満が最多を占め、次いで100万―300万円が多かったが、1000万円以上も50現場近くあった。 会員企業からは、発注者への要望として、「現場の経費増に対する設計変更または積算上の経費率変更」「削減に寄与する資機材・工法の積算基準への反映」「削減に対する評価点などのインセンティブ(優遇措置)付与」などを求める意見が上がっている。 日建連としては、国交省が2025年度から着手した低炭素型コンクリート試行工事やGX(グリーントランスフォーメーション)建設機械活用推進工事・ゼロエミッション促進モデル工事のさらなる拡大を要請。試行を通じた問題点の把握と、それを解決する施策を含めたサプライチェーンの構築、低炭素化技術の評価基準の早期策定などを求める。 建設通信新聞 電子版2カ月無料キャンペーンはこちら

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