<エネルギー>水素支援策を10億$削減 - NNA ASIA・オーストラリア・化学
オーストラリア政府が水素産業支援策を10億豪ドル削減し、水素生産税額控除制度の見通しも不透明となった。これは国際的な水素事業コストや投資判断に影響し、日本企業の海外事業計画にも波及する動き。
専門家の視点
豪州政府の水素支援策10億豪ドル削減は、物語先走り構造の典型的な転換点です。これまで「水素大国」という壮大な物語が投資を牽引してきましたが、実体である生産コストや需要創出の壁が明確になり、政策が現実に引き戻された形です。 ここで重要なのは、税額控除制度の不透明化が示す時間軸の非対称性です。設備投資は即時ですが、収益化は2030年以降と長期に及びます。このズレが、政策変更という一回のショックで投資判断を凍結させるのです。 隠れた前提は「海外市場の支援策は継続する」という暗黙の想定です。日本企業の水素戦略は、この前提に大きく依存してきました。豪州の削減は、支援策が景気循環や政権交代で可逆的であることを示し、海外依存型の戦略そのもののリスクを露呈させました。 次の観測点は、豪政府が補助金削減の代替として規制やカーボン価格といった市場メカニズムに舵を切るかどうかです。日本企業には、海外支援策の永続性を前提にした事業計画の見直しと、国内需要創出を並行させる両輪戦略が求められます。政策の揺らぎは、むしろ収益化時期の現実化を促す契機です。