サステナ基準対応は大変! 既に開示してきた企業でもこう言い切れるワケ - 日経クロステック Active
サステナビリティ開示基準への企業の本音と対応の難しさについて、既に開示実績のある企業の事例を基に解説する記事
専門家の視点
サステナビリティ開示の負担感は、既に開示歴のある企業でも軽減されないという現実が、ここにはあります。これは「実体」が物語に翻訳されていない典型例です。過去の開示実績はあるものの、それが新基準への対応コストを削減するという物語として機能していません。開示の深度が増すほど、新たなデータ収集や保証対応が追加負担となり、実績が「土台」ではなく「再出発点」と受け取られているのです。 ここでの隠れた前提は、「過去の経験は将来の効率化に必ず寄与する」というものです。しかし、サステナビリティ基準は移行期にあり、要件が拡大・変容し続けるため、過去の経験値が陳腐化する速度も速い。経験が資産ではなく負債に変わる構造があります。次の観測点は、企業が過去の開示プロセスをどの程度モジュール化し、再利用可能な形にできるかです。現状では、多くの企業が専任チームを抱えながらも、属人的な対応に留まっており、組織知として蓄積されていません。時間軸で見れば、基準の安定化までこの非効率は続きます。実体が物語に追いつくのは、開示基準が固定化され、標準テンプレートが市場に定着した後になります。