国際ルール

韓国 ベトナム原子力・電力市場で協力強化

2026-05-12
ベトナムが脱炭素化を背景に原子力発電計画を再始動し、韓国と協力を強化する動き。日本のGX関連業務に間接的影響がある。

専門家の視点

ベトナムの原子力再始動は、政策の可逆性が極めて高い領域です。2016年の白紙化が示す通り、政権交代や国際情勢の変化で計画は反転し得ます。今回の協力覚書はその流動的な土俵の上にあり、現時点では「可能性の検討」と「資金協力の枠組み」という、いずれも実行段階に入っていないソフトな合意です。実体はまだ見えていません。 構造的なズレは、韓国側の期待が走りすぎている点です。KEPCOはAPR1400やSMRの導入可能性に言及していますが、ベトナム側の年内の制度設計やサイト選定といった具体的な工程表は示されていません。物語が先行している状態です。一方で、ロシアの第一サイトはVVER-1200の建設協定が締結済みで、こちらは実行レイヤーが確定しています。韓国は第二サイトで後発となるため、技術移転や人材育成といった長い時間軸の投資を覚悟する必要があります。 隠れた前提は、ベトナムのエネルギー計画が原子力に振り向ける財政的余裕を維持し続けるという想定です。再生可能エネルギーの導入コストが下がる中、原子力の経済合理性は今後も検証され続けます。

韓国電力公社(KEPCO)のD. キム社長は4月22日、ベトナム・ハノイで韓国の李在明大統領とベトナムのT. ラム共産党書記長の立会いの下、ベトナム国家エネルギー産業公社(ペトロベトナム:PVN)と「原子力発電開発の協力可能性検討に関する覚書」を締結した。併せて、韓国輸出入銀行(KEXIM)、韓国貿易保険公社(K-SURE)とともに4者間で「原子力発電プロジェクトにおける金融協力に関する覚書」を締結し、ベトナムで原子力発電所建設プロジェクトを円滑に進めるための資金面での協力体制構築も進めている。 今回のPVNとの覚書についてKEPCOは、昨年8月のベトナム共産党T. ラム書記長の韓国訪問を機に締結された「原子力分野の人材育成協力に関する覚書」と併せ、今後の協力拡大につながるとみている。PVNはニントゥアン第二原子力発電所プロジェクトの運営者である。 翌23日、キム社長は「韓・越ビジネスフォーラム」に出席し、ベトナムの新規原子力発電所および電力インフラ事業への積極的な参加の意志を表明。同席上で、ベトナム電力公社(EVN)と「電力インフラ協力に関する覚書」を締結した。 PVN のレ・ゴック・ソン会長は、韓国の原子力産業基盤や金融面での強みを評価。APR1400 や SMR の導入可能性に言及し、人材育成や技術協力を含めた幅広い連携に期待を示した。 ベトナムのニントゥアン原子力発電所計画は、2016 年にいったん白紙となったが、政府は近年、エネルギー安全保障や脱炭素化を背景に計画を再始動している。第一原子力発電所については、ロシアとの間で VVER-1200 ×2 基の建設協力協定が締結されており、韓国側は第二サイトへの関与拡大を視野に入れているとみられる。

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