企業動向

旭化成、水島の石油化学生産を縮小 | LOGISTICS TODAY

2026-05-12
旭化成が水島の石油化学生産を縮小する中長期判断を発表、カーボンニュートラル対応が背景にある。

専門家の視点

水島での生産縮小は、単なる国内需要減への対応ではなく、石油化学産業の構造転換が物流インフラの再編を不可避にする転換点です。エチレン設備統合により能力が52%減となる一方、旭化成は撤退する製品群の販売終了時期を未定とし、需給逼迫が報じられる中でも当面の供給継続を強調します。ここに中長期の再構築と短期の安定供給という二つの時間軸が同居しており、移行期間4年がその緩衝材として機能する設計です。 物語は、自社の生産終了が産業全体の稼働率向上に資するという合理性を示しますが、その前提には国内能力過剰という認識があります。一方で、ANは韓国子会社、PCDは中国子会社へのシフトにより、国内需要家の調達構造は輸入依存へと変化します。物流事業者にとっては、国内一貫輸送から海上輸送へとモーダルシフトが進み、BCP設計の見直しが迫られます。 構造的には、生産設備の縮小は実行されますが、物流インフラの再編は需要家の調達変更を待つため、時間差が生じます。このズレが、今後数年間の化学品物流の需給ミスマッチを生む可能性があります。

荷主旭化成は5月12日、水島製造所(岡山県倉敷市)の一部誘導品事業を30年度を目途に再構築する方針を取締役会で決議した。スチレンモノマー(SM)と高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)は生産を終了する。アクリロニトリル(AN)は水島の年20万トンラインを停止し、年5万トンのAN・MAN(メタクリロニトリル)併産ラインと韓国子会社の東西石油化学で供給を継続する。ポリカーボネートジオール(PCD)は水島での年3000トン相当の生産を停止し、中国子会社などで生産する体制に切り替え、供給を継続する。 サプライチェーン全体で代替品への切り替えに時間を要するとして、約4年の移行期間を設定した。同日、旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社は、26年1月に基本合意した西日本のエチレン製造設備統合について、共同事業体の出資比率を三井化学45%、三菱ケミカル45%、旭化成10%とすることを前提に検討を進めると発表した。ナフサ不足を背景に石油化学製品の供給不足が報じられるなか、旭化成は5月12日時点でAMEC水島工場と関連誘導品設備が稼働を継続しており、当面の供給に支障が出る事態は想定していないと説明している。(編集長・赤澤裕介) 旭化成は同日の発表で、ナフサ不足を背景とした石油化学製品の供給不足報道に触れたうえで、5月12日時点では三菱ケミカル旭化成エチレン(AMEC)水島工場のエチレン製造設備、関連する誘導品設備とも稼働を継続していると説明した。AMECは当面のナフサ調達について目途を付けており、誘導品についても当面、供給が滞る事態は想定していないとした。 今回の再構築決定は短期需給とは切り離した中長期の経営判断との位置づけで、国内人口減少に伴う内需縮小、東アジア地域での競争力低下、カーボンニュートラル対応という同社が掲げる事業環境認識への回答となる。 対象製品について、同社はサプライチェーン全体で代替品への切り替えに相応の期間を要するとの認識を示し、移行期間として約4年を確保した。SM、LDPE、HDPEは30年度を目途に生産を終了するものの、販売終了時期は未定で当面販売を継続する。 SMは樹脂原料、ポリエチレンは各種フィルム・包装資材・日用雑貨向け、ANは樹脂・繊維原料、PCDは合成皮革などポリウレタン樹脂原料として広範な需要家を抱えており、移行期間中の安定供給維持を最優先するとしている。このうちSMは1965年、LDPEは64年、HDPEは70年、ANは62年に水島で操業を開始しており、いずれも50年以上にわたり国内外の需要家に供給してきた基幹品目となる。 ANは水島の縮小ラインと韓国の東西石油化学を組み合わせた供給体制となり、完全な海外移管とは異なる。PCDは水島生産停止に伴い旭化成精細化工(中国・南通)などへ生産機能をシフトする。 SM、LDPE、HDPEの3品目について、旭化成は国内生産能力が他社を含め国内需要を十分に上回っており、自社の生産終了は産業全体の関連設備の稼働率向上を通じて石油化学産業のサプライチェーン強靭化に資する、と説明する。各品目の国内能力、旭化成能力、国内需要、生産・輸出入量は次のとおり。 物流側では、PCDで中国拠点、ANで韓国子会社を含む供給体制となることで、国内需要家向け供給の一部で輸入フローの比重が高まる可能性がある。需要家のBCP設計上は、国内一貫生産を前提とした調達から、海外拠点と海上輸送を含むサプライチェーンへの切り替え対応が課題となる。化学品物流事業者にとっても、ISOタンクコンテナやケミカルタンカーなどを含む取扱品目構成の見直し材料となる。 3社の共同発表によると、西日本エチレン製造設備の統合に向けた共同事業体の出資比率は、基礎化学品の引き取り量の比率に基づき、三井化学45%、三菱ケミカル45%、旭化成10%を前提に統合検討を進める。出資比率を含む詳細は、今後締結する共同事業契約で最終的に確定する。 26年1月の基本合意では、30年度を目途にAMEC水島工場のエチレン製造設備を停止し、三井化学子会社の大阪石油化学(OPC、堺市)の設備に集約することが決まっていた。統合後のエチレン能力は95万1000トン/年から45万5000トン/年へ52%減となる。 旭化成の出資比率10%は、同社が水島誘導品の主要品目を撤退・縮小することと符合する数字で、各社の基礎化学品の引き取り量比率を反映した形だ。 水島地区について、旭化成はエチレン製造設備跡地の30年度以降の活用を検討するとしており、誘導品設備は生産終了後に速やかに撤去する方針だ。倉敷・水島臨海工業地帯は、岸壁、タンクヤード、パイプラインなど石化向け物流インフラが集積する地域で、SM・LDPE・HDPE・AN・PCDの大

本文は配信元の記事から取得した抜粋です。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る