制度・政策

【国際】SBTi、絶対削減アプローチ改定。2026年以降の目標設定企業に即時適用

2026-05-10
SBTiが絶対削減アプローチの削減幅を改定し、2026年以降の目標設定企業に即時適用されることを発表

専門家の視点

絶対削減アプローチの改定は、SBTiが企業に求める削減率を現実の脱炭素ペースに合わせて引き上げる構造的変更です。ここでの核心は、2026年以降に目標設定する企業への即時適用という時間軸の非対称性にあります。既存目標の企業には猶予がある一方で、新規参入企業には高いハードルが課されるのです。これは物語先走りの構造です。気候科学が示す1.5度経路の残存炭素予算は明確に減少していますが、企業の技術革新やサプライチェーン全体の変革スピードは追いついていません。つまり、SBTiの意図は科学的に正しくとも、実行レイヤーにおける現実的な実装手段が未整備なまま基準だけが前進している状況です。また、この改定が暗黙に前提としているのは、全企業が同じ削減曲線を描けるという均質性です。しかし、業種や地域による排出構造の差異は大きく、一律の絶対削減率は不均衡を生みます。次の観測点は、改定後の目標設定企業の認証プロセスと、既存企業が2030年中間目標をどう修正するかです。この基準の厳格化は、目標未達リスクを現在の企業のバランスシートに先行的に織り込む圧力となり、資本市場での資金調達環境を変えるでしょう。

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