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中国で10万世帯へ水素混合ガス供給開始(中国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

2026-05-11
中国で既存都市ガスインフラに水素を混合する大規模実証プロジェクトが始動し、民生分野での水素活用が拡大した。

専門家の視点

中国・山東省で10万世帯規模の水素混合ガス供給が始まりました。既存の都市ガスインフラを活用し、家庭用機器の交換なしで水素を最大10%混ぜる点が画期的です。ただし、ここには「実体が翻訳されていない」構造が潜んでいます。年間1,300万立方メートルの水素処理能力と、全国で10%混合した場合の天然ガス代替量150億立方メートルという試算の間には、約1,000倍以上の隔たりがあります。つまり、実証規模は依然として極めて小さく、社会実装の前段階に過ぎません。記事は「現実味を帯びている」と表現しますが、実際には水電解による水素製造コスト、パイプラインの安全管理基準、漏洩対策といった実用化への壁が未解決のままです。隠れた前提は「水素が既存の燃焼機器で安全に使える」ことですが、10%混合時の燃焼特性や長期耐久性はまだ検証途上です。次の観測点は、この実証プロジェクトから得られる技術的知見が、中国全土のガス導管網という巨大なインフラへどう波及していくかにあります。現段階の中国水素戦略は、国家主導の「物語先行型」であり、実体と物語のギャップが埋まるかどうかの検証が始まったばかりです。

このページではjavascriptを使用しています。 中国石油天然気管道局(CPP、以下、管道局)によると、山東省濰坊(イホウ)市で4月19日、中国初となる10万世帯規模の「天然ガス水素混合」実証応用プロジェクトが正式に始動した。既存のインフラを活用しながら、都市ガスに水素を混ぜて供給する大規模な試みで、民生分野における水素エネルギー普及の重要なステップとなる。 本プロジェクトは、同市中心部の都市住民10万世帯を対象としており、一般家庭のほか商店や飲食店などのガス利用を全面的にカバーする。最大の特徴は、住民が現在使用しているガスコンロや給湯器などの機器を交換することなく、そのまま水素混合ガスを利用できる点にある。 中核となる設備は、3万立方メートルの混合能力を持ち、水素の混合割合を0%から10%の間で柔軟に調整できる。現在、毎時5,000立方メートルの水素を製造する水電解設備や、全長5.2キロメートルの都市ガス用輸送パイプライン、高度な検査プラットフォームが整備されており、年間で最大1,300万立方メートルの水素を処理することが可能となっている(「大衆新聞」4月20日)。 今回のプロジェクトは、管道局が主導するもので、国家的な科学技術モデル事業「水素進万家(水素をあらゆる家庭へ)」(注、2025年9月29日記事参照)の成果の1つとして位置付けられている。同事業は、パイプライン輸送や交通など他分野での技術実証を通じ、全国的な水素エネルギーの普及に向けた知見を蓄積することを目的としている。 管道局は同事業において、中国初となる水素パイプラインの設計基準策定を主導し、国内で初めて都市ガスの基準に完全準拠した水素専用パイプラインを設計した。このパイプラインは、年間3万トンの輸送能力を備えるとしている。 中国政府は2026年3月、工業情報化部や国家発展改革委員会などの連名で「水素エネルギーの総合的活用に関するパイロット事業の実施に関する通知」を発表した(2026年3月23日記事参照)。通知では水素の用途を従来の燃料電池自動車(FCV)から、工業や民生分野へと一気に拡大させる方針を示している。 管道局の試算によると、中国全国の都市ガスで水素混合比率を10%とした場合、年間で約150億立方メートルの天然ガスを代替でき、二酸化炭素(CO2)排出量を約3,000万トン削減できる見込みだ。カーボンニュートラル実現に向け、都市ガスインフラを活用した水素の「大規模利用」が現実味を帯び始めている。 (注)国家科学技術部と山東省が2021年4月に共同で立ち上げた科学技術実証プロジェクト。 ビジネス短信 8dd2e203d2ba0c96 メンバーズ・サービスデスク(会員サービス班) E-mail:jmember@jetro.go.jp

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