ESG優等生リコー、収益性改善は道半ば 「きれいごと」の転換が課題 - 日経ビジネス
ESG優等生として知られるリコーの脱炭素・循環経済への取り組みと収益性改善の現状を分析し、今後の営業戦略に脱炭素を活用する方針を示す記事
専門家の視点
ESG評価と財務成果の間に明確な時間差が生じています。脱炭素目標の前倒し達成やCDP・エコバディスでの最高評価は、過去の投資が実を結んだ測定可能な実績です。一方で営業利益率3.5%、ROE5.7%、PBR1倍割れという資本市場の評価は、その実績を事業成長へ変換できていない現状を映します。 ここでの核心は、ESG目標を「将来財務目標」と位置づけながら、その成果を株主還元や資本効率の改善として翻訳する経路が未構築である点です。環境事業開発センターの「見せて稼ぐ」場への転換は、評価指標と事業創出を接続する試みですが、商談貢献30億円という目標は売上規模に対するインパクトとしては限定的です。 構造的なズレは「物語先走り」に該当します。外部評価という物語は完成していますが、それを支える収益構造という実体が追いついていません。時間軸で見れば、ESG投資の成果が財務に反映されるまでには通常5年以上かかります。リコーの場合、15年度を基準にした排出削減は達成しましたが、その経験を収益化ノウハウとして体系化する段階にまだ達していないと判断できます。