制度・政策

[新連載]米国産ガスに世界が殺到 ドイツも脱炭素からエネルギー安保重視へ - 日経ビジネス

2026-05-10
ドイツが戦争の影響で脱炭素からエネルギー安保重視へと政策転換し、米国産ガスへの需要が殺到している国際動向に関する記事。

専門家の視点

ロシア産ガスへの依存を断ち切るドイツが、米国産LNGに殺到する構造は、エネルギー転換の時間軸が突然短縮された典型例です。実体として、物理的供給網と地政学リスクは脱炭素の理想より先に動きます。問題は「脱炭素か安保か」という二項対立の枠組みそのものにあります。ドイツは再エネ拡大と水素戦略を維持しながら、当面の橋渡し燃料としてLNGを位置づける物語を再構築できていません。ここでのズレは実体が翻訳されていない点です。再エネ導入実績は依然世界有数であり、温室効果ガス削減も進んでいます。しかし、政治とメディアの物語が「安保重視への転換」と単純化することで、市場には脱炭素後退の期待が過剰に反映されます。時間軸で見ると、LNG基地建設は数年の投資決定を迫る一方、水素インフラは2030年代の本格稼働が前提です。この非対称性が、企業と投資家の判断を短期的な調達確保に誘導する構造です。次の観測点は、ドイツが2035年電源構成でLNGと再エネの整合性をどう数値化するかです。隠れた前提は「エネルギー安保と脱炭素は両立しない」というフレームですが、両立の条件は供給源の多様化と需要側の効率化で変わり得ます。

配信元の記事を読む →
← GXニュース一覧に戻る