中東情勢:脱炭素推進、リスクも 電事連会長 森望氏 - 毎日新聞
電気事業連合会会長が中東情勢の緊迫化が脱炭素推進のリスクになると指摘。エネルギー安全保障とGXの両立が課題。
専門家の視点
中東情勢の緊張は、脱炭素推進の前提そのものを揺さぶる構造的な論点です。日本の電力安定供給は中東由来の化石燃料に大きく依存しており、地政学リスクの高まりはエネルギー安全保障とGX投資の時間軸に直接的な影響を与えます。この記事が示すのは、脱炭素という物語が、現実の調達リスクという実体と衝突する場面です。電事連会長の発言は、GX推進のスピードよりも、安定供給を最優先する業界の立場を反映しています。ここでのズレは、政策が掲げる脱炭素目標と、電力会社が直面する事業環境の現実との間にあります。投資判断の可逆性も問われます。脱炭素設備への投資は長期かつ大規模で、中東情勢の悪化が燃料調達コストを押し上げれば、電力会社の経営を圧迫し、GX投資への慎重姿勢を強める可能性がある。見るべきは、政府がエネルギー政策の修正を迫られた際に、どのような補償制度や移行期間を設計するかです。次の観測点は、総合エネルギー調査会の議論が、中東リスクを織り込んだシナリオへと更新されるかどうかです。現状は、物語と実体の調整が未完了のまま、期待だけが先行する構造にあります。