【国際】ペプシコ、低炭素肥料の活用拡大。環境属性証書(EAC)購入で世界初
ペプシコが低炭素肥料の環境属性証書(EAC)を購入し、サプライチェーン排出削減を進める世界初の事例を発表した。
専門家の視点
ペプシコの契約は、低炭素肥料を「物理的な購入」ではなく「環境属性証書(EAC)」という形で調達する点に本質があります。これは温室効果ガス削減の価値を切り離して取引する仕組みであり、実体としての低炭素アンモニアの供給が伴わない可能性を内包します。つまり、ペプシコのスコープ3削減目標の達成が、実際の肥料の流れとは別建てで進む構造です。この非対称性が、今回の「世界初」の本質であり、同時に最大の論点です。物語は「サプライチェーン全体の脱炭素」ですが、実体は「環境価値の所有権移転」に留まる可能性が高く、ここにズレがあります。次の観測点は、このEACがどのような第三者認証を受け、実際に畑で使われるアンモニアの排出原単位とどう紐付くかです。また、他の食品大手が同様の仕組みを採用した場合、EAC市場の需給逼迫が価格を押し上げ、物理的な低炭素肥料への投資意欲を削ぐ逆機能も想定されます。ペプシコの契約は、実体が翻訳されていない典型ではなく、物語が実体を先取りした典型です。環境価値の取引が実物の転換を阻害しないためには、EACの発行量を実生産量に厳密に連動させる制度設計が必須です。