制度・政策

社説/伸び悩む再生エネ比率 経済安保も視野に導入再加速を - 日刊工業新聞

日刊工業新聞 2026-05-07
伸び悩む再エネ比率について、経済安全保障の観点も踏まえ、導入再加速を促す社説。

専門家の視点

再エネ比率の伸び悩みは、技術や資源の不足ではなく、系統接続と制度設計という実体の壁が原因です。送電線の空き容量不足や出力制御の増加は、太陽光や風力を物理的に制約する構造であり、これを無視した導入目標の拡大は物語先行の典型と言えます。経済安全保障という物語を前面に出すことで、国内製造基盤の強化やサプライチェーン確保という論点が加わり、議論の射程は広がりましたが、肝心の系統整備の具体的な費用負担や工程の合意は依然として不明瞭です。市場の期待は水素や次世代技術に向かいがちですが、現時点で効果が見込めるのは、既存技術の導入を阻む送電線と手続きの非対称性を解消することです。導入には時間がかかり、可逆性も低い設備投資である以上、政策の実効性は執行レイヤーである系統運用者の運用次第です。隠れた前提は、再エネ比率が上がれば電力コストが下がるという見立てですが、出力制御の増加は調整費用を膨らませ、むしろ電気料金の上昇圧力になり得ます。次の観測点は、系統整備のマスタープランが国の主導で示されるかどうかです。現在の構造は、物語は増えても実体を翻訳する制度設計が追いつかない、実体と物語の非同期状態です。

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