制度・政策

中東情勢:脱炭素推進、リスクも 電事連会長 森望氏 | 毎日新聞

2026-05-08
電事連会長が、中東情勢を踏まえ、脱炭素推進のリスクとして海外での石炭回帰の可能性に言及。

専門家の視点

中東情勢の緊迫が石炭回帰という現実を生みつつあります。これは物語先走りの構造です。国際社会の脱炭素目標という壮大な物語が、供給不安という実体に追い越されている。電事連会長の発言は、日本単独の脱炭素推進が産業空洞化を招くという現実的な懸念を口にしたものであり、気候変動対策とエネルギー安全保障の板挟みという構造が鮮明になっています。 ここでの隠れた前提は「国際的な脱炭素の歩調が揃う」というものです。しかし実際には、各国のエネルギー事情や経済事情は大きく異なります。アジア諸国の石炭回帰が進む中、日本のみが脱炭素を急ぐ合理性は薄れつつあります。時間軸で見れば、脱炭素は長期目標ですが、エネルギー安全保障は今すぐの対応が求められます。この非対称性が政策判断を難しくしています。 次の観測点は、中東情勢の沈静化後に石炭回帰の流れが反転するかです。また、日本のGX政策が産業競争力を維持しながら進められるかの具体策です。両立しにくい温暖化対策と安定供給の二つの事実を、日本はどう統合するのかが問われています。

インタビューに応じる電気事業連合会の森望会長=東京都千代田区で4月23日 関西電力の社長で、2月に電気事業連合会の会長に就任した森望氏が、毎日新聞のインタビューに応じた。中東情勢の緊迫によるエネルギーの供給不安が、アジア各国などの火力発電所で燃料を「石炭回帰」させる方向に働くとの見通しを示した。その上で「日本だけが脱炭素を進めた場合、産業の海外移転や弱体化が起き、国力が衰える」と述べ、現状での脱炭素の推進に慎重な認識を明らかにした。 二酸化炭素(CO2)を多く出す石炭火力発電からの転換は、気温上昇を18世紀の産業革命前から1・5度に抑えるという世界共通の目標達成に向けては欠かせない。

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