水素ビジネス「離陸」への苦闘・第1回/「やまなしモデル」が切り開く、地産地消の可能性/県外へセールス、インドなど海外展開も - 東洋経済オンライン
山梨県の地産地消型水素ビジネスモデルが県外やインドなど海外への展開を目指す事例を紹介する記事。
専門家の視点
水素ビジネスは、国策の大型モデルと地域分散型の「やまなしモデル」が対照的な時間軸で動いています。山梨県の地産地消型モデルは、水素の製造から利用までを地域内で完結させる点で実体が伴っており、これは物語先行の国策大型プロジェクトとは一線を画します。一方で、県外セールスやインド展開という表現は期待先行の側面があり、エネルギー密度やコスト競争力といった物理制約を海外市場で克服できるかは未検証です。この構造における中心的なズレは、輸送インフラに依存しない地産地消の優位性を主張しながら、同時に海外展開という輸送型ビジネスを目指すという、二つの方向性の矛盾にあります。隠れた前提として「地域内需が持続的に成長する」という仮定があり、これは人口減少下の山梨県では楽観的です。次の観測点は、海外展開で実際に受注を得た際、地産地消モデルがどう変容するかです。小型・分散型という強みが、国際市場では逆にスケールメリットの欠如として不利に働く可能性がある。水素ビジネスの離陸は、技術実証から需要創出への橋渡しに失敗すれば、再び地上に留まる構造です。