新任担当者が知っておきたい SSBJ基準の基礎 - 日本経済新聞
新任担当者向けに、日本版サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の基礎知識を解説した記事
専門家の視点
サステナビリティ開示基準の整備は進むが、実際に開示を実行する企業側の体制整備が追いついていない点が構造的な課題です。SSBJ基準は国際的な整合性を重視する一方で、適用を担う実務担当者の育成やデータ収集体制の構築は各企業の自助努力に委ねられています。 ここにあるのは「物語先走り」の構造です。基準策定という制度面の整備は迅速に進みますが、開示に必要な非財務情報の測定・検証プロセスは企業内にまだ根付いていません。特にScope3の算定などはサプライチェーン全体の協力が必須であり、単独企業で完結できない点が実体とのズレを生みます。 この状況で、開示基準が先行するほど、形式上の報告書は作れても実質的な脱炭素経営に結びつかない「形骸化リスク」が高まります。基準が求める水準と企業の実行能力の差分が、次の開示シーズンに顕在化するでしょう。 隠れた前提は「基準準拠が脱炭素経営の進捗を正しく反映する」という考え方ですが、必ずしも真ではありません。開示はあくまで手段であり、基準に適合すること自体が目的化する危険性があります。