25年度の住宅着工は70万戸割れ目前、脱炭素大改正や価格高騰が影響
2025年度の住宅着工が70万戸を割る見通しで、脱炭素に関する建築基準の大改正や資材価格高騰が着工減少の要因となっている。
専門家の視点
2025年度の住宅着工は、脱炭素大改正と価格高騰という二つの負荷が同時にかかった結果、70万戸割れ目前まで落ち込みました。ここで見るべきは、省エネ基準適合義務化という制度導入のタイミングと、建設コスト上昇という市場実態が、時間軸を同じくして重なった点です。制度は設計図上の性能を求める一方、価格高騰は実際の着工判断を鈍らせます。表向きは「脱炭素のための改正」ですが、実体として働いたのは「規制の先食い」と「需要の先送り」という二重の引き下げ圧力でした。特に分譲マンションの落ち込みは、価格転嫁が効きにくい中間所得層が市場から退出しつつある構造を示します。物語は「脱炭素社会への移行」ですが、実体は「住宅取得可能性の縮小」です。このズレが放置されれば、省エネ性能の高い住宅は富裕層向けに偏り、市場全体の質は下がります。次の観測点は、26年度の着工が制度慣れによって回復するか、それとも価格高騰が需要そのものを構造的に削ぐかです。現時点では、脱炭素の目的と住宅政策の目的が整合していない、実体欠落の構造です。