制度・政策

国際海運のカーボンニュートラルを促進する条約の早期策定に向けた交渉再開~国際海事機関 ...

2026-05-07
国際海事機関(IMO)における国際海運のカーボンニュートラル促進のための条約改正案の交渉が再開された。国交省が発表。

専門家の視点

国際海運のGHG規制交渉は、1年間の中断を経て再開し、12月の採択審議に向けて9月と11月に作業部会を追加開催することが決まりました。構造を見ると、実体として、LNG燃料船を基準適合に含める日本の修正案と、リベリア等の対案が併存する段階にあります。ここでの中心的な論点は、物語先走りの構造です。2050年ゼロ排出という壮大な目標に対し、実行手段である基金や賦課金・報奨金制度を日本案が外したことで、目標と制度設計の間に明確なズレが生じています。相殺制度はゼロエミッション船の導入を促すと言いますが、実質的にはLNG船の延命策として機能する可能性が高く、目標年度までの技術的・経済的実現性と整合しているかは不透明です。また、採択審議を急ぐ時間軸は、途上国や海運業界の執行体制の準備を度外視する危険があります。北東大西洋の排出規制海域指定が2027年発効で先行して決まった一方、地球規模のルールが後追いになる非対称性も見逃せません。隠れた前提は、加盟国の合意が技術進歩を必ず促進するという楽観視です。実際は、ルールの不確実性が長距離海運の投資判断を停滞させる副作用も無視できません。

昨年10月の臨時委員会で採択審議が1年間中断された、IMOでの国際海運のカーボンニュートラルを促進するための条約改正案について、今次委員会では、各国の歩み寄りを図るため、日本は、各国の懸念等を踏まえた修正案を提示し、交渉の実施を呼びかけました。その結果、本年12月初旬における採択審議の開催に向けて、本年9月及び11月に追加の作業部会を開催し、条約修正案の検討等を行うことが合意されました。 今次会合の主な審議結果は以下のとおりです。詳細は別紙を参照ください。 IMOでは、2050年までに国際海運からのGHGの排出ゼロを目指し、新たな国際ルール導入に向けた海洋汚染防止(MARPOL)条約附属書の改正作業を進めていますが、昨年10月の臨時委員会にて一部の国から強い反対が示されたことを踏まえ、採択審議を1年間中断することが決定されました。 今次委員会では、国際ルールの早期導入に向けて、加盟国間の意見対立を解消し、歩み寄りを図るべく、日本は各国の懸念等を踏まえた修正案1を提示し、採択審議までの間に検討を進めるための作業部会の開催を提案しました。リベリア等からも修正案が示されており、審議の結果、本年12月初旬の採択審議の再開を視野に、9月及び11月に追加の作業部会を開催し、日本の修正案を含む条約修正案の検討等を行うことが合意されました。 1  省エネ技術等の進展を踏まえ、エネルギー当たりGHG排出量の基準についてLNG燃料船も基準適合船に含まれるよう見直すとともに、IMO基金及び賦課金・報奨金制度を導入せずに、基準適合船と基準超過船との複数船舶の間で相殺を認めることにより、ゼロエミッション船の導入促進等を図る制度(下図参考)。 イランによる攻撃を国際法違反として強く非難するとともに、ペルシャ湾におけるイランの攻撃が海洋環境に深刻な影響を与えることを懸念し、イランに対して海洋環境汚染のおそれのある攻撃の停止を要求すること等を決議しました。 北東大西洋をNOx及びSOx等の排出規制海域として指定することが採択されました(発効日:2027年9月1日)。 船舶バラスト水規制管理条約の改正について、その一部が承認(次回採択審議)されました。 海上輸送されるプラスチックペレットの流出対策について議論するとともに、「船舶からの海洋プラスチックごみに対処するための2026年戦略及び行動計画」が採択されました。 PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。 左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。 Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご覧ください。

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