IHI、燃料アンモニアVC構築へ 準備着々と : 化学工業日報 電子版
IHIが燃料アンモニアのバリューチェーン構築に向けた準備を着々と進めているという記事。
専門家の視点
燃料アンモニアのバリューチェーン構築は、供給網そのものの設計段階にあり、実体はまだ「準備」の領域です。IHIの動きは、既存のガスタービン技術を核に、原料調達から燃焼機器、輸送・貯蔵までの一気通貫の構想を示しますが、主要な未定要素はアンモニアの安定調達価格と、国際的なサプライチェーンの標準化です。ここでの構造的論点は、技術実証は進んでも、商業運転を見据えた際の「誰がどこで生産し、誰が運ぶのか」という実行レイヤーの具体化が遅れがちな点にあります。また、記事はアンモニアを脱炭素燃料として当然視していますが、その生産過程で排出されるCO2をどう管理するかという上流側の論点が抜け落ちる傾向があります。時間軸では、現行の天然ガス並みの価格競争力を持つには2030年代後半まで待つ必要があり、この間の移行期をどうつなぐかが焦点です。現時点では期待先行の構造であり、次の観測点は海外での実証プラントの稼働率と、燃料アンモニアの国際規格策定の進捗です。技術はあるが価格と制度が追いつかない構図が続く限り、この準備は長期的な布石であり続けます。